2017年5月31日 UP
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<インタビュー連載企画第2弾> 各分野の専門家に聞く!『社会の変化とともに求められる、次世代リーダーに必要なスキル』②

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みなさんこんにちは!
VALメディア編集部による、連載記事を掲載いたします。
本連載企画は、VALCREATIONと関わりのある様々な先生方に次世代リーダーに必要なスキルやマインドなどを伺い、
メディア上の教育機会を作っていこうという趣旨のもとにスタートしたコンテンツです。

今回は第2弾として、各分野の専門家に聞く!『次世代へ向けた“社会の変化”と“必要なスキル』
をテーマに各分野の専門家にお話を伺いました。
専門的な立場にあるからこそ分かる「今後の社会の変化」や「次世代リーダーに求められるスキル」
を身に付けるための具体策を余すことなくお伝えします。
未来の羅針盤として、是非ご活用ください!

戦略コンサルタントとして活躍する専門家に聞く
『日々変化する社会のなかで、
リーダーが持つべき心構え』

第2弾は、藤村総合研究所の代表であり、InProGroupの代表コンサルタントを務める、藤村慎也さんです。
本インタビューでは、ご自身の活動を通して気付いた、次世代リーダーが身につけるべき資質について伺いました。

『海外進出をサポートする“戦略コンサルタント”とは?』


藤村 慎也(ふじむらしんや)
藤村総合研究所代表取締役/InProGroup 代表(経営コンサルタント)
1977年生まれ。東京大学卒業後、ロンドン大学へ留学。2001年、アメリカの大手経営コンサルティング会社であるベイン・アンド・カンパニー入社。2006年にはインド・ニューデリー事務所駐在。アメリカ、インド、日本企業他、グローバル案件に携わる。2011年、ハーバード大学ケネディスクールにて公共管理学修士課程修了。現在はこれまでのキャリアと勉学を活かし、自ら経営コンサルティング会社を経営。戦略コンサルタントとして海外進出支援や事業化調査の現場で活躍している。

――本日はよろしくお願いいたします。
藤村さんは戦略コンサルタントとして様々な海外案件に携わっていらっしゃいますが、具体的にはどのような業務を行っているのでしょうか。

藤村(以下敬称略):
私は企業が海外へ進出する際の様々なサポートをしております。海外へ出ていく際には幾つかの方法があります。例えばM&A。海外企業へ投資をする方法ですね。その際に、どこの会社を対象にするのか(=screening)、その事業にはどれくらいの市場性があるのか、M&Aにはどれくらいの投資額が必要で、全体でどれくらいのランニングコストが見込まれるか(=due diligence)など、検証や分析を通して経営者の意思決定をサポートしております。
また、意思決定、投資実行後の統合支援をすることもありますし、時と場合によっては撤退の支援も行います。その際にも、そもそも本当に撤退をするべきなのか、どのように撤退したら良いのかなどを分析します。
私の業務内容はそれほどメジャーではないので、よく「何をしているの?」と聞かれることが多いですが、何となくご理解いただけると嬉しいです。

――藤村さんが戦略コンサルタントになろうと思ったきっかけを教えていただけますか。

藤村:
大学卒業後にロンドン大学へ留学し、国際関係論を専攻しました。私は国際関係の中でも、発展途上国の開発に携わりたいという気持ちが強かったため「国連本部」や「UNDP(国連開発計画)」「UNICEF(国連児童基金)」などの公的な機関で働くことを目指していました。国際的な公的機関へ入るためには、アメリカの経営コンサルティング会社で働いているとキャリアとして認められる、という話をロンドン大学の友人から聞いて、私は米系コンサルティング会社を中心に面接を受けることにしました。そのなかでベイン・アンド・カンパニーへ内定が決まり、就職するに至りました。

『相手の話を聞き、相手の状況を理解する』

――戦略コンサルタントとしての専門知識やノウハウはベイン・アンド・カンパニー時代に身につけたものだったのですね。

藤村:
その通りです。ただ、ベイン・アンド・カンパニーではノウハウ以外にも、ビジネスパーソンとして大切な心構えをたくさん教わりました。それらは独立後、今なお私の大切な価値観になっています。

 

――具体的に教えていただけますか。

藤村:
私は、「人の話を聴くこと」をとても大切にしています。コンサルタントは、クライアントの内情をきちんと理解した上で提案をしないといけないからです。
経営とは、唯一無二の答えがない世界です。一人ひとり、様々なものの見方があります。その為、社内の誰がどういう意見を持っているかをきちんと理解しなければいけませんし、仮に思い込みで自分の意見だけを言っていると、クライアントから反発されてしまいます。プロセスとして、“一緒に考えた”ということがその後の合意形成に重要になるのです。

私も、若い頃には自分の主張が正しいと感情的になって、怒鳴り散らしてしまったこともありました。ただ、それでうまくいったことはありません。感情的になって良いことはないですね。自分のストレスが解消するくらいです(笑)。

この仕事には、あらゆる場面で“修羅場”があります。特に買収された企業の現場は人生をかけて働いている人たちが多いのです。例えば、いきなり上司が全員アメリカ人になるというケースもあります。言葉も通じない、求められることも評価制度もこれまでと違う。けれど、自分には家族を養わなければならないという責任もあります。生活がかかっている日本人部長と、アメリカ人エグゼクティブとの板挟みになることも日常茶飯事です。

このような経験を経て、周りの状況を見て観察して、「どうしてこの人はこんなことをしているのだろう」ということを深く考えるようになりました。できれば、ご家族の状況も知っておいたほうが良いですね。かつ、会社の中での立ち位置を確認することも重要です。出世ができるかどうかの瀬戸際なのか、既に諦めているのか、このプロジェクトに懸かっているのか…常に目の前の人がどのようなモチベーションで動いているのかを知り、相手の状況を理解する。そのためにも、とにかく「相手の話を聴くこと」が非常に大切だということを気づかせてもらいました。これは今でも心がけています。

 

――「人の話を聴く」と言っても、言葉だけでなく、その人の背景や気持ちの部分もきちんと理解することが大事なのですね。

藤村:
そうです、特にこれからは今まで以上に目まぐるしく社会が変化していきます。今日正しかったことも、明日には正しくないということも往々にして起こってくるでしょう。そうなった時には、やはり周りとのコミュニケーションや人間関係が重要になってきますよね。

『多様な働き方を認め、人を活かす』

――藤村さんの考える「これからの社会の変化」についてお伺いできますか。

藤村:
まず「働き方」が変わります。今では、私の親世代とは違って転職が当たり前ですよね。また、残業を減らそうという流れもあり、時間に縛られない在宅勤務も増えてきています。つまり、勤務時間の管理ができなくなり、代わりに成果に対する評価が重要になってくるのです。営業職ならまだしも、数値で表すことのできない仕事に対して、公平で透明性のある評価制度を整えることはとても難しいことです。

また、フリーランスや兼業・副業が増えるとも言われていますよね。社員として雇うわけではなく、業務委託という形態も増えてきますし、外国人を雇うこともあるかもしれません。つまり、会社と人との関係性が大きく変わってくるのです。
そこで大切なのが、マネジメント側の資質です。多様な働き方を認めつつ、一人ひとりモチベーションを高めて働いてもらうのが理想です。どのように人を活かすかがポイントとなり、マネジメントの形が大きく変わっていきますね。

 

――今まさに「働き方改革元年」と言われていますが、働き方はどんどん変化していきそうですね。

藤村:
変化のスピードはどんどん早くなっていると私は考えています。
振り返れば、インターネットが普及し始めたのがたった20年前なのです。当時、大学時代に初めて自分のメールアドレスをもらって、とても興奮したのを覚えています。
そして、スマートフォンの普及も約10年ほど前からです。今では仕事をする上でなくてはならない物になっていますよね。『ライフ・シフト (リンダ・グラットン著/東洋経済新報社)』によると、これからは100年人生の時代になるのだそうです。100歳までどのように生きていくかを考えなければならないのです。10年、20年経っただけでこれほど大きな変化があるのに、100歳まで生きたら社会はどのくらい変化しているのか、全く想像できませんよね。

『「人としての資質」を磨いていくこと』

――そのように考えると、社会はものすごいスピードで変化しているのだと実感することができますね。それでは、変化の激しい社会で次世代リーダーに求められるスキルとは何なのでしょうか。

藤村:
変化に対応するためにも、やはり基本的な思考力、コミュニケーション能力は必須ですね。そして、それを活かすための“人としての資質”が同じくらい大切だと私は思っています。
具体的に述べますと、第一に「素直さ」。何が正解なのか分からない社会のなかで、自分の非をきちんと認められる、そういう素直さです。松下幸之助さんも本田宗一郎さんも、「素直な心」が大事だと言っていますよね。これは私も実体験を通じて学びました。
そして、失敗しても落ち込まず、そこから復活する「精神的な強さ」。失敗は必ずするものです。それも素直に受け入れて、うまくいくまでやり抜く、根気よく、成功するまでやり続ける力が大切だと思います。成功したければ、成功するまで続けることだ、とよく言いますよね。これからの時代はスキルだけではなく、人としての資質を磨いていく必要があると思います。

『キャリアとライフを追求できる働き方を』

――藤村さんの今後の目標をお伺いできますか。

藤村:
先ほど申し上げたように、これからは働き方の変化が著しい時代です。そのなかで、キャリアとライフを追求できる生き方や働き方を実現するためのプラットフォームを作っていきたいと考えています。
実際2016年にInProGroup(インプロ・グループ)というネットワークを立ち上げ、各分野のプロフェッショナルに登録いただいています。クライアントには必要な時に必要なスキルを活用していただき、プロフェッショナルには自由に時間をコントロールして働いてもらう環境づくりを小規模ながら始めています。InProGroupに登録いただいているプロフェッショナルには、キャリアとライフの両方を追求してもらいたいと思っております。
また、先程述べたスキルや資質を身につけるための教育機関を作りたいとも思っています。特に学生にアメリカ型のリーダーシップやリベラルアーツ、ロジカルシンキングやコミュニケーションを教えて可能性を広げていけるような活動、また学問ではなく資質を身につけていくような生涯学習の場作りをしていきたいですね。
私もまだまだ未熟で、これから更なる挑戦をしようと思っております。次世代リーダーの皆様と一緒にこれからの社会をより良くしていけたらと思います。

――藤村慎也さん、ありがとうございました!

 


 

インタビュー連載企画第2弾、いかがでしたでしょうか?
2人目は戦略コンサルタントとしてご活躍されている、藤村さんにお話を伺いました!
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