2018年9月25日 UP
教養

グローバル競争に勝つためには「世界を知ること」が重要 ~日本的経営の学び舎Ⅲ~

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9月19日(水)、技術経営士の会 & VALCREATION 共催企画「日本的経営の学び舎」第三回目を開催いたしました。

日本的経営の学び舎は、戦後復興からバブル経済、第三次産業革命、リーマンショックを経験され、日本経済の最前線で活躍された「技術経営士」を講師に迎え、長い経験から得られた知見や知恵を「日本的経営」という切り口から、明日を担う若き次世代リーダーに向けて伝授いただく場です。
第三回目は、技術経営士の会 会員であり、株式会社日立製作所名誉顧問・元副社長の久野勝邦さんを講師に迎え、久野さんの考える日本人の特性と今後グローバル社会を勝ち抜くために必要な課題についてご講話いただきました。

 

「日本人の特性」を多角的な視点で学ぶ

講話のテーマは「日本人の特性と日本的経営を磨くために必要な要素」。
冒頭、久野さんのこれまでのご経験や様々な学びの中から導き出した“日本人の特性”について多角的な視点でお話をいただきました。日本人の「思考方法の特徴」や「文化の特徴」「和魂」について共有があり、特に日本人は未来や未知への対応が弱く、言語としても元々は“未来形”がなかったこともあり未来型思考が希薄である点、また神道・仏教という多神教の世界の中でお互いに強調し合いながら安定した暮らしを良しとする考え方が強い点を伝えました。

しかし、グローバル環境への対応が著しく遅れている今日において、これらの日本人らしさを変革していく必要があると久野さんは言います。日本的経営を磨きグローバル競争を勝ち残っていくためには「世界を理解する“知性”を磨くこと」が必要であり、「経済学」「自然学」「人間学」を総合して世界を理解することで“知性”を磨き、「未来」を考える力をつける必要があるとまとめました。そして、未来を考えるために次の3つの意識変革が必要であり、なぜ必要なのかの経緯とどのように変革していけばよいかについて説明をしました。
未来を考えるために必要な「3つの意識の変革」
1.イノベーションを目指すチャレンジ精神を磨く
2.リスク管理と共にインテリジェンス意識を磨く
3.仲間内意識を越えて公益を追求する気概を磨く

欧米人・中国人とは根底的に考えが異なることを理解する必要がある

リスク管理に対する意識については、日本人と欧米人の考え方は大きく異なっており、欧米人からすると、リスクは神の統べるところであり、自然をも超越した唯一神である神の掟であることから、「何があっても起こしてはならないもの」と考えられています。対して日本ではリスクの議論を避ける傾向にあり、起きてしまったら「想定外」で終わらせてしまうケースが多いとのこと。ビジネス上でもリスク管理に多くのコストを掛けることはありません。つまり「リスク」という言葉の定義が根底からして異なるのです。その他にも“宗教意識”や“誰のために働くのか”という考え方の違いなど、日本人と欧米人、中国人でどれほどの違いがあるのかについて伝え、世界を知ることが全ての始まりであることを強調しました。

壮絶な人生を経て考え続けた「日本人とは?」を書籍に

久野さんの講話のあとは、皆で食事をとりながら自由に意見交換を行いました。
参加者からは「経済学、自然学、人間学の視点から学ぶことが必要であるという考えはいつ頃気づかれたのか?」という質問があり、それに対して久野さんは「小さい頃から“なぜ生きているのだろう?”とずっと考えていました」と自身の生い立ちや人生についてお話ししていただきました。久野さんは幼少期を満州で過ごし、6歳のときに日本へ引き揚げてこられました。幼い頃は満州から生きて日本へ返れるとは思っておらず、命の危機を幾度も経験したと言います。しかし日本へ戻ってきてからも周りからのいじめにあい、友だちもできず「なぜ自分は生きているのか?生きるとは何だ?人間とは何だ?」ということをずっとずっと考えてこられたそうです。久野さんは日立製作所を退職後に著書を7冊出版されていますが、「日本人とは」というテーマで書かれているのもそのためです。

また、日立製作所時代の質問に対しても「これで終わりだと何度も思った」と毎回クビになることを覚悟して思い切ったチャレンジし、ベストを尽くした結果としてたまたま生き残ることができたと話され、その達観したお話に参加者もただ感嘆の声を上げることしかできませんでした。

久野さんは「孫の時代が心配だ」とおっしゃり、何か残さなくてはならないと、世界のことを知ってもらうための著書を新たに出版したいという豊富を語られました。そのために今なお学び続けられている久野さんの姿勢に、参加者も「私達ももっと頑張らなければならないと」気持ちを新たにしていました。

次回の「日本的経営の学び舎」は、10月24日(水) 中村房芳さん(株式会社IHI顧問・元代表取締役副社長)を講師に迎え、「日本的経営をグローバルに活かす」についてお話しいただきます。

次世代を担う志ある若手経営者、若手ビジネスパーソンのご参加をお待ちしております。