2019年7月11日 UP
教養

会津若松市が実践するITを活用した最先端の『地方創生』とは?

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2019年6月29日-30日「次世代リーダーズ スタディツアーin会津若松」を開催しましたので、ツアー内容をレポートいたします!

本スタディツアーは次世代リーダーズキャンプの特別企画として実施し、『地方創生』をテーマにした宿泊型研修としては初めての試みでした。今回は、会津若松市長、会津若松市議会議員、会津発のITベンチャー企業代表、国家上級官僚など「地方創生」の現場で活躍する知識人・プロフェッショナルに多数お越しいただき、「IT」を活用した最先端の取り組みについて学びを深めました。

 
はじめに、オープニングとして本スタディツアーの実行委員長を務める竹岡哲朗よりツアー開催の経緯と目的について共有がありました。その後事務局長の藤村雄志より2日間のタイムスケジュールの確認、参加者からの自己紹介と続き、メインプログラムである講義へと移りました。
 

一つめの講義では、会津若松市長 室井照平さんより「会津若松市におけるIT化の取組事例」というテーマでお話がありました。
冒頭、室井市長は「会津を知ってもらいたい」ということで、会津のお酒・郷土料理・伝統工芸品などの名産品と人口・地理・産業などの概要を共有しました。福島県は全国新酒鑑評会の金賞受賞数が7年連続日本一。うち半数以上が会津地方のお酒であり、会津のお酒は日本随一のブランド力を誇ると伝えました。
また、平成5年に先進ICT研究に特化した県立大学として創立された「会津大学」は、世界大学ランキング 日本版2019で26位にランキングしており、今後益々需要が高まるICT人財を養成する大学として注目を浴びています。
会津若松市ではICTによる街づくりを「スマートシティ会津若松」と呼び、アクセンチュアと連携の上、様々な取り組みを実施しています。例えば、GPS端末を活用した除雪車運行状況の見える化マップの運用。母子手帳の電子化。電子黒板機能付きプロジェクターの全小中学校への配置。タブレットを利用した小学生向けドリル学習のサービス化。LINEを活用し24時間いつでも相談可能な自動応答サービスの実施。インバウンド観光客向けに適切な観光名所を案内する「VISIT AIZU」サイトの運営。更には農業の分野へもICT化を取り入れ、土壌の状態や地温のデータ管理から適切な給水量・給水時間の計測。ドローンによるお米の収穫適期の判断。杜氏のノウハウをデータ化した5Gによる酒づくり等、他にも様々な施策を実証実験としてリアルタイムで行っています。今回私たちが学んだ会場「AiCT」もスマートシティに向けた取り組みのひとつとして今年4月に開所しました。室井市長からは数々の施策をご紹介いただき、参加者の皆様も想像以上の取り組みに驚きの表情を隠しきれない様子でした。
 

二つめの講義では、一般社団法人エコロジー・カフェの発起人の山崎俊巳さんより「Society 5.0時代の私たち」というテーマでお話がありました。
初めにSociety 5.0を考える上ではこれまでの軌跡を知る必要があると、Society 1.0~4.0の社会について説明がありました。一方で、狩猟社会⇒農耕社会⇒工業社会⇒情報社会という社会の変化と同時に、“人”はどのように進化を遂げてきたのかを振り返り、社会が変化しようとも私たち人間の“幸せの価値観”は変わらないのではないか、という考えを述べました。さらに政府広報がCMとして流している「Society 5.0」の動画を共有し、このような未来はすぐそこまで来ているという現実と、そのために私たち一人ひとりが取るべき行動は何かを投げかけました。
 

三つめの講義では、会津アクティベートアソシエーション株式会社 代表取締役の満田善護さんより、「会津若松市の目指すスマートシティ」というテーマでお話がありました。同社は「会津をつなぐ。」をコンセプトに会津独自の魅力を探求・具体化するコンサルティング、プロダクト開発を行うベンチャー企業です。
中でも会津若松市内の各蔵元協力のもと、「AIZ’S-EYES(あいづあいず)」というブランドのお酒を企画。各有名蔵元が同名のお酒をつくり、同じパッケージに蔵元の名称シールを貼り販売しています。本企画は会津若松市が団結する画期的な取り組みであると評価が高まっており、会津若松市が誇る「日本酒」を活用したブランディング事例に参加者の皆様も大変感心していました。
 

その後特別スピーチとして、内閣府 地方創生推進事務局 参事官補佐の井上貴至さんより鹿児島県長島町に副町長として赴任した2年間で実施した「町おこし」の実例と地方創生に求められる資質についてお話がありました。
次に、サンクレスト株式会社 代表取締役の植田実さんより、自身が手がけるNPO法人の活動である「夢実現カンパニー」の紹介があり、地方創生における教育の重要性を伝えました。
 

講義終了後は、宿泊先である会津有数の温泉地「東山温泉」の東鳳へ移動し、懇親会を行いました。
懇親会には、会津若松市議会議員の清川雅史さん、東北最古の焼き物“会津本郷焼”を伝承する「流紋焼」代表取締役の弓田修司さんにもご参加いただき、室井市長のご挨拶の後、清川議員に乾杯のご発声をお願いし、一同交流を深めました。
会津の美味しいお酒を堪能しながら、普段なかなかお会いすることのできない方々との会話に花を咲かせていました。
懇親会の後は会津市街を一望する棚田状の露天風呂をそれぞれ堪能し、雨雲がかかっていてもなお美しい町の夜景を楽しみました。
 

翌日は朝一番、株式会社会津ラボ創設者であり、現在株式会社会津コンピュータサイエンス研究所の代表を務める久田雅之さんよりお話を伺いました。
久田さんは会津大学創立第一期生として入学後、全生徒の3分の2が留年する厳しい授業をストレートで通過し、修士号・博士号を取得したICT界の秀才です。久田さんは会津大学初代学長の國井利泰先生がいつも語っていた「会津にシリコンバレーをつくる」という熱い想いが心から離れず、金沢工業大学の教授を経て会津若松市にて起業。現在も会津や福島のためにICTの先端技術を活用した新サービスの提供に尽力しています。久田さんからは会津大学の意義や地方でICT企業を経営するメリットについてお話がありました。
 

久田さんの講義後は、2日間のプログラムで学んだことをグループでディスカッションし、「私たちが地方創生に向けてできること」というテーマで発表を行いました。発表の内容に対してエコロジー・カフェの山崎さんより総評をいただき、各人が「地方創生」というテーマを深掘りし自分ごととして考える良い機会となったのではないでしょうか。

その後、希望者で会津藩校「日新館」を視察。改めて“教育”の重要性を学び、本スタディツアーは終了しました。
本スタディツアー開催にあたりご協力いただきました皆様には感謝申し上げます。
 
『次世代リーダーズキャンプ2019』本番は、9月7日-8日in山口にて開催いたします。多くの次世代リーダーのご参加をお待ちしております。
 
 
(文責:VALMEDIA編集部 遠藤あずさ)

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