2018年8月21日 UP
マネジメント

成長は永遠には続かない。「盛者必衰の理」を理解した経営が重要!~日本的経営の学び舎Ⅰ~

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7月18日(水)、技術経営士の会 & VALCREATION 共催企画「日本的経営の学び舎」がスタートしました。
日本的経営の学び舎は、戦後復興からバブル経済、第三次産業革命、リーマンショックを経験され、日本経済の最前線で活躍された「技術経営士」を講師に迎え、長い経験から得られた知見や知恵を「日本的経営」という切り口から、明日を担う若き次世代リーダーに向けて伝授いただく場です。
 

第一回目は、技術経営士の会 会長であり、コムシスホールディングス株式会社、日本コムシス株式会社 元代表取締役社長・会長 の島田博文さんを講師に迎え、島田さんが企業経験から学んだこと、島田さんの考える日本的経営についてご講話いただきました。
 

高齢化を真の成熟社会へするために

冒頭、島田さんより「技術経営士の会」を発足した理由について共有がありました。
少子高齢化が問題視されている現代において、“少子化”が問題なのはわかるが、“高齢化”がなぜマイナスに評価されるのか。むしろ高齢化は知識が増える成熟社会である。高齢化が問題視される理由は高齢者の知識をフィードバックするツールが弱く、個々の知見が生かされていないからであり、その課題を解消するために“技術経営士”という資格と“技術経営士の会”という団体を作られたそうです。技術経営士の会には、「自身の経営経験から得た知見を活かしたい」というプロフェッショナルが集い、「知見を活かしてくれる人がいればありがたい」という想いで、ボランティアの精神で取り組んでいる、と島田さんは説明しました。

その後、「私が企業経営経験から学んだこと」というテーマで様々な見解をお話しいただきました。はじめは、島田さんの専門分野でもある「インフラビジネスの課題」について。
島田さんは大学院卒業後、電電公社へ入社され、NTTの民営化を経験されています。当時NTTでは、“どこでもだれでもいつでもつながる電話”を各家庭に設置することを計画的に実行していました。しかし、実際にすべての家庭に電話が設置されれば、次は多様化の時代。多様化をするためには民営化するしかないという流れから、独占市場は終了し、電話の市場に複数の企業が参入してきました。
島田さんは、これまでの様々なご経験の中で、「あくまで私の考えではありますが」と前置きし、「インフラビジネスは民営化しないほうが良いと思う」という見解を話されました。長期的に考えるとインフラビジネスを金儲けの手段にするのはよくない。昔のNTTは常に「技術の話」が先行していたのに、今では「いくら儲かった」という話ばかりになってしまっている。そのことに少し疑問が浮かんでいるということでした。
 

経営にも「盛者必衰の理」がある

その後、島田さんが大事にしている価値観である「盛者必衰の理」についてお話がありました。
盛者必衰の理とは、成長はしても必ず衰退期がきて、そして必ずまた成長するという必然的な繰り返しのことです。この価値観を重要視し始めたのは、島田さんの愛読書である 塩野七生著「ローマ人の物語」を読んでからだそうです。古代ローマの時代でも幾度となく問題と解決が繰り返され、更には2000年前に起きた問題が、現代にも繰り返されているということに気がついた時に、人の世には原則があるのだという考えに至り、「盛者必衰の理」を強く感じるようになったと言います。経営をするにあたっても「盛者必衰の理」を理解しておくことが重要だと島田さんはアドバイスしました。


さらには、経営者に求められるリーダーシップについても言及し、リーダーに求められる人間的魅力とは「惚れさせる力」であるとし、部下と上司の関係でいうと、部下に惚れさせることが究極の信頼関係であると伝えました。
経営者は裸の王様になる可能性が高く、すると部下はなかなか本音を話してくれません。そのため、成功したリーダーには必ず信頼できるナンバー2、つまり幕賓の存在があり、そのような存在を持つ必要性を具体例とともにお話しされました。
 

日本的経営は、堺屋太一著「日本を創った12人」から学べる

最後に、島田さんの考える「日本的経営」についてお話があり、島田さんは、堺屋太一の名著「日本を創った12人」を読めばおおよその答えが分かるとまとめました。本書には、現在のジャパニーズクールを創ったとされる12人の解説が書かれていますが、島田さんの解釈では、ジャパニーズクールというのは“日本的経営”そのものであり、本書を読めば「日本的経営」のルーツがすべて分かると、参加者へ一読をおすすめしました。


島田さんの講話のあとは、皆で食事をとりながら、自由な意見交換を行いました。島田さんの講話に対する質問や、NTTへ入社した当時のこと、民営化された当時のお話。また、どのような本を読んで学ばれているのか、現代の若者は本当に駄目なのかなど、近い距離で様々な質問にお答えいただきました。
 
意見交換会は、盛り上がりも冷めぬうちに終了し、名残惜しいながらも、本日の出会いに皆さん心から感謝していました。
本企画が次世代リーダーの皆様に少しでもプラスとなりましたら幸いです。
 
「日本的経営の学び舎」は、今回の島田さんの講話を皮切りに、全8回行います。
次回は、8月22日(水)開催、三木一克さん(元日立メディコ社長)を講師に迎え、「イノベーションと技術経営の実践」についてお話しいただきます。

 
次世代を担う志ある、若手経営者、若手ビジネスパーソンのご参加をお待ちしております。

(文責:VALMEDIA編集部ライター 遠藤あずさ)

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