- 2016年11月11日 UP
- マーケティング
「八方ふさがりの状況でロクシタン社が行ってきた具体的な差別化戦略」
2016年8月24日(水)19:00〜21:00東京渋谷にて、高倉塾主催による「第7回高倉サロン」が開催されました。
前回に引き続き、ロクシタンジャポン株式会社 相談役顧問の鷹野志穂さんをゲストに迎え
「八方ふさがりの状況でロクシタン社が行ってきた具体的な差別化戦略」をテーマに講演いただきました。
今回は、マーケティング戦略の基本である4つのP(Product・Price・Promotion・Place)について
それぞれ事例を用いてご説明いただきました。
ロクシタンの代名詞とも言えるシア ハンドクリームについて鷹野さんは、「市場を注意深く見ていたこと」そして「特徴が多かったこと」これら2つの要素があったため、ハンドクリーム市場を越えてギフト・リラクゼーションとしての商品展開に繋がったと言います。当時、ブランドではなく商品そのものを覚えてもらうために、約500品もの商品の中から1つ1つ吟味し、他社が持っていない商品を探したそうです。
そんなシア ハンドクリームの価格を、皆さんはご存知でしょうか?
薬局などで購入するハンドクリームと比べると高いと感じられる方も多いと思いますが、これをギフトとして販売を進めたことで人気商品となったのです。中には、鷹野さんご自身も売れないと思っていた商品もあったそうで、ロクシタン社員の情熱が鷹野さんを動かしたというエピソードもご紹介いただきました。
商品や価格帯が決まったら、次はPlaceです。
前回もご紹介いただきましたが、日本進出当初のロクシタンは無名であるがゆえに百貨店への出店が叶わず、
広告をうつ予算もありませんでした。その解決策として、路面店や駅ビル、人通りの多い場所へ出店していきました。
Promotionも兼ねた渋谷や銀座など大型店舗の出店のために、数年間場所が空くのを待ったそうです。「地図を広げて出店したい場所を先に決めました」という言葉には参加者も驚きの表情を浮かべていました。
続く質疑応答では、組織に関する質問もあり、高倉先生も交えて活発な議論が展開されました。
最後に、鷹野さんは「与えられた環境の中で何かを生み出すには、パッションが必要です。今までにないものを生み出すには、ロジックではできない。何度も何度も訓練してください。」と会を締めくくりました。
高倉サロンはマーケティングに成功している企業トップの講演を聞くことができる、貴重な機会です。
ご興味のある方はぜひご参加ください。
鷹野 志穂(Shiho Takano)
東京女子大学 文理学部卒
新卒で日本の食品メーカーに総合職1期生として入社。その後外資化粧品メーカー、飲料メーカーにおいてブランドマネジメントを中心としたマーケティングマネージャー職などに携わる。2001年よりロクシタンジャポン株式会社に入社。2001年日本代表。2004年代表取締役社長。2015年代表取締役会長。2016年相談役顧問。
高倉 豊(Yutaka Takakura)
元ウブロ・ジャパン代表取締役1948年兵庫県生まれ。
自由学園男子最高学部を卒業後、1970年に博報堂に入社。入社5年目から、中東&欧州に計11年間に滞在。39歳で博報堂を退社。翌年40歳で外資系高級化粧品メーカー、パルファム・ジバンシイの日本法人トップに抜擢される。以降、イヴ・サンローラン・パルファンやシスレーの日本法人、外資系高級時計メーカーのタグホイヤーやウブロの日本法人、計5社の外資トップを20年間務める。その間、次々と自社の業績を回復させ、「ブランド再生人」として業界で有名になる。2011年6月末、ウブロ社長を辞任。
現在は、ビジネスコンサルタントとして活躍するかたわら、執筆・講演活動を行う。
<ロクシタンについて>
1976年、当時23歳だったオリビエ・ボーザンが、南フランスの自然と伝統を伝えたいという想いから創設。植物成分をベースに南仏の工場で生産したスキンケア、ボディケア、ヘアケア、フレグランスなどの化粧品を、南仏風デザインの直営店舗を中心に販売。1990年代より世界戦略を展開し、現在世界で2800店舗。
また、直営店舗以外でもホテルのアメニティや、機内販売、空港の免税店、ギフトカタログ、テレビショッピング、Eコマーズなどのユニークなマルチチャネル展開でも成功している。また、ライフスタイルコスメの先駆けとして、カフェやスパの展開も成功している。
日本では1998年に直営一号店がオープンし、世界戦略の一環として子会社が設立された。
2014年現在直営店舗102店舗、売上250億 従業員数950名。
投稿者プロフィール
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