2019年4月1日 UP
マネジメント

より良い社会の実現に向けて“日本人として”なすべきこと。 ~日本的経営の学び舎Ⅷ~

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3月20日(水)、技術経営士の会 & VALCREATION 共催企画「日本的経営の学び舎」ファイナルを開催いたしました。
日本的経営の学び舎は、戦後復興からバブル経済、第三次産業革命、リーマン・ショックを経験され、日本経済の最前線で活躍された「技術経営士」を講師に迎え、長い経験から得られた知見や知恵を「日本的経営」という切り口から、明日を担う若き次世代リーダーに向けて伝授いただく場です。

第八回目は、技術経営士の会 幹事であり、住友精密工業株式会社 元社長の神永晉さんを講師に迎え、神永さんのリアルな体験談から「日本人の強みと弱み」「日本人として何をなすべきか」について学びを深めました。
 

現在の発展を支えたMEMS界の先端技術を牽引。

神永さんは、東京大学卒業後住友精密工業株式会社へ入社。同社にて30年以上MEMSの研究・開発に携わりました。MEMSとは微小電気機械システム(Micro Electro Mechanical Systems)の略で、多くのセンサに組み込まれている部品です。現在は、自動車エアバック用センサやゲーム機「Wii」のセンサ、スマートフォンのセンサに使用されています。

神永さんはドイツへ6年駐在、英国では5年間M&A企業を経営し、その際も一貫してMEMSの研究開発を行いました。もともとIoT市場では、MEMS自体はビジネスにならないという評価が一般的でしたが、神永さんは「MEMSをつくる装置には需要があるのでは」と考え、シリコンの深掘り技術を駆使した装置を開発。この技術がなければ、スマートフォン然り、現在に至るまでの急速な発展はなかったとも言われています。
 

グローバルに求められている異業種との積極的な融合=イノベーション

企業経営の目的は社会への貢献であり、それは「イノベーション」によって実現すると神永さんは言います。イノベーションを起こすためには「あらゆる形態の協業が必須」です。例えば、企業内の縦割りの撤廃、産学官の連携、産/産の協同、国際協力、M&Aなどがあげられます。中長期的視点を持ち、これらの異業種が「技術」や「事業」を融合することでイノベーションは生まれます。

日本は、この異業種の融合に一層貢献すべきであると神永さんは強調しました。IoTの世界では、日本は部品や要素技術が非常に優れているとの評価がありますが、その強みを更に発展させていくという思考が弱いという現状があります。日本の技術を基盤とした、新しいシステムの構築/ビジネスモデルの創出はグローバルで大きく求められていますが、日本は海外への発信力が弱く、また海外の力を有効に使う視点が欠如しています。3.11の際には、原発の情報を外に出さないという意思決定から世界規模での研究機会を喪失し、グローバル視点の弱さを露呈しました。
 

より良い社会の実現に向けて“日本人として”なすべきこと。

日本人を客観的に見た際の強みは、「技術のきめ細やかさ」「相手の立場を尊重し相互利益を追求する姿勢」。反して弱みは、「設備投資における決断スピードの欠如」「グローバル人材の不足」です。

神永さんは、日本には良いところや得意なところが多くあることに自負を持ち、自信を持って世界へ発信していくべきであると訴えました。またサステイナブルな考え方が求められている現在、日本人の考え方や物事の進め方がグローバルスタンダードになる可能性がある点を強調し、世界に目を向けたグローバル視点での教育に力を入れなければならない現状を伝えました。

後半は、神永さんが現在取り組まれている「公益資本主義」についてお話を伺い、「企業は社会の公器である」という考え方は日本の土壌に元来根付いているものであり、その実践が「稼ぐ力」に直結する優位性を学びました。
 
参加者からは、
「企業経営の目的=社会貢献=イノベーションという項目が刺さりました。今の自分には欠けているところでしたので、この機に自身の経営について見直していこうと思います。」
「公益資本主義は『本来あるべき資本主義』、という言葉が刺さりました。アメリカや中国も短期的投資を見直している今、公益資本主義の考えは現在の日本に必要な画期的な取り組みだと感じました。」
などの感想をいただきました。

 

これにて、7月より開始いたしました「日本的経営の学び舎」全8回の講義が終了となりました。これまで共に学びを深めていただきました皆様、ありがとうございました。

現在、「日本的経営の学び舎」の振り返り会として、全8回の講師をお招きした懇親会を企画しておりますので、詳細が確定いたしましたらHPよりご案内をさせていただきます。楽しみにお待ち下さい。

 
(VALMEDIAライター:遠藤あずさ)

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