- 2020年1月8日 UP
- 教養
「Society5.0時代のリーダーの在り方」
IoTやAIといった先端技術の発展を受け、日本では「Society5.0」を未来のコンセプトに掲げています。
Society5.0とは「サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会」と定義され、少子高齢化や地域格差、貧富格差を解決し、一人ひとりが快適に暮らせる社会の実現を目的としています。
<政府広報によるSociety5.0特設サイトはこちら>
そこで本記事では、Society5.0時代を迎える現代において
・次世代リーダーはどのようにあるべきか?
・どのような視点でビジネスチャンスを見つけるとよいか?
について書いていきたいと思います。
過去の進化から未来を想像する。
Society5.0という未来社会を想像するためには、まずこれまでの進化の系譜を知る必要があるでしょう。人類はこれまでSociety1.0~4.0までの進化を経験してきました。
現代社会とも言われるSocity4.0とは「情報化社会」。インターネットが普及した1995年から現代までを表します。Society3.0は「工業化社会」。第一次産業革命後、蒸気機関や電気による動力を活用し生産性を向上させた、18世紀後半~20世紀後半にあたります。Society2.0はそれ以前の「農耕牧畜社会」。Society1.0は「狩猟採集社会」です。
こうして見ると、各Societyの間で大きな変革が起こり、人々の暮らしの根本が変化していることがわかるでしょう。つまりSociety5.0を迎える現代は、まさに大きな転換期であり、私たち一人ひとりが自分ごととして認識する必要があるのです。
進化は私たちの暮らしを豊かにし、生活の利便性を高めました。
例えば、Society3.0以降では世界の平均寿命が大幅に上がりました。1800年代では29歳だった平均寿命は2000年には72歳に上がってます。これは医療の発達や衛生面の改善が大きく、移動手段の発展によりグローバルコミュニケーションが盛んになったことも影響しています。
それに伴い、世界人口は大幅に増加しました。Society2.0初期は500万人と言われていた人口も、現代では77億人規模にまで膨れ上がっています。人口急増が環境破壊の一因として社会問題になるほどです。
Society4.0ではインターネットの普及により、多くの人が自由に情報を収集できるようになりました。国境を越えたオンラインでのコミュニケーションが可能となったことで、社会にも新たなニーズが続々と生まれ、サービス産業が発達。またITインフラが構築され、経済活動も盛んになりました。
しかし進化がもたらすものは良いことばかりではありません。利便性を得た裏側で私たちが失ったものもあります。
例えばSociety3.0では、労働時間の増加により睡眠時間が減少。また自然環境や生態系の破壊を招きました。Society4.0ではリアルな人間関係・コミュニティの希薄化による精神病の増加。更には全世界における経済の格差を生みました。
変革時は、良いことも悪いことも起こりうるということを私たちリーダーは認識しなければなりません。
大局観を持ち、危機をチャンスとして捉える資質が必要。
既にSociety5.0に向けたフィールド実証はあらゆる分野、地域で取り組まれており、その一つにVR技術があります。
現在では、スマートフォンを指で操作することが当たり前ですが、VR技術が発達することにより、もしかすると声認証で必要な動作が完了したり、更には“念じる”だけで必要な情報が目の前に表示されたり、そのような未来も遠からず起こりうる話です。
もしそうなった場合は、人間は考える力を放棄してしまうかもしれません。あるいは情報量が莫大に増え、脳がパンクしてしまう可能性もあります。そうなれば脳の情報処理速度が速い人財が重宝されていくでしょう。
Society4.0で格差が広がったように、Society5.0でも格差が一層広がるのでは、という意見も多くあります。
Society5.0時代を迎える現代において、私たちは一体何と向き合い、どのように考え・行動をしていけば良いのでしょうか。重要な視点は「危機の捉え方」であり「課題を解決していきたいという想い」です。Society5.0に進化したからこそ生まれる新しいニーズや、新しい課題に気づいて目を向けること。そのための観察力を身につけること。そして社会課題を「ビジネスチャンスである」と捉え、どのように解決していこうかを考える発想力が、これからの時代には求められます。
その前提として重要な資質が「大局観」であると私たちは考えています、
これからの未来を自分ごととして想像し、起こりうる変化から課題を見出し、それを解決したいという情熱を持つこと、それこそが次世代リーダーに必要な資質ではないでしょうか。
ぜひ、Society5.0をきっかけに、未来社会について想像し、自身がどのように関わると良いかについて考えてみてほしいと思います。
(文責:VALMEDIA編集部ライター 遠藤あずさ)
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